変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が高いと言われているVUCAな現代の激動の環境では、今までとは異なる能力が必要とされています。
 
単純に知識やノウハウを詰め込むだけでは足りないと考えられ、近年では特にメンタルの強さが注目を受けています。先が読めない時代の中では逆境や不確実性にも対抗できる人が必要だと考えられており、その表れとして、忍耐力(グリット)や挑戦し続ける姿勢、グロースマインドセット等をテーマにした本や研究が多く発表されています。
 
では、これからの時代で逆境にも強くなれる人を育てるにはどのようなことが必要なのか。今回のブログでは、イギリスで行われた長年の研究を紐解きながら親の関わり方についてご紹介いたします。
 

長年の研究から見えてきた親が与える大きな影響

 
どの親も子どもが自立して本人が幸せな人生を歩むことを願っているのではないでしょうか。
 
つまづいたり、悩んでいたりなど何かがあったら子どもの力になりたい。ただ、いつまでもサポートし続けることは難しいのも事実です。
 
では幼い頃にどのような関わり方をすれば自立した逆境にも強い子どもが育つのか。
 
過去70年間、7万人以上、5世代に渡るイギリスでの研究から見えてきた要素を科学ジャーナリストのヘレン・ピアソン氏が彼女の著書やTed Talkで紹介しています。
 
1946年の終戦の数ヶ月後に開始されたこの研究はイギリス、スコットランド、ウェールズである一週間のうちに生まれた子どものおよそ1万4千人の記録を取り始めたところから始まります。そこから調査は70年以上続き、全部で7万人以上、5世代の子どもの成長を追いかけてきました。
 
その中でどの世代においても共通して出てきた結果の一つは貧困であることはあらゆる面で大きく不利になってしまうことでした。学校の成績や就職に限らず、長期的な健康においても影響を与えています。
 
ただ、そのような環境でも成功を収める人もたくさんいました。では彼らはどのような要因によって逆境を乗り越える力を身につけていったのか。大きな鍵を握っているのは親だとピアソン氏は伝えています。
 

人がスピーカーマイクで話す, ワクワク, 不安を乗り越える

どのような親の関わり方が効果的なのか?

 
ではどのような親の関わり方が求められるのか。
 
1970年代に生まれた1万7千人のデータから逆境でも学校の成績で成功をおさめた生徒の要因を調べた結果、子どもに対して関心を示して、熱心に関わり、子どもの未来に対しても大きな期待を持っている親のもとで育った子どもは困難な環境も乗り越えやすくなるとデータは表しています。
 
些細な行動であっても子どもにとっていい結果に繋がると言われています。
 
例えばある研究では、子どもが5歳の時に毎日読み聞かせを行ない、10歳の時に子どもの教育に関心を示した親元で育った子どもは30歳の時に貧困状況である可能性が読み聞かせや教育に関心を示さなかった親元で育った子どもに比べて明らかに低い結果となりました。
 
また1万人を対象に就寝時間に関して行われた研究では、平日に同じ時間に寝ていた子どもとバラバラの時間に寝ていた子どもを比較したところ、規則正しい生活をしている子どもの方が問題行動を起こしていないことが見受けられました。そして、バラバラの時間帯に寝ている子どもが規則正しい就寝時間へと変更した際には問題行動の減少が見られました。
 
また5歳や10歳などの際に娯楽として読書をする子ども(自ら進んで自分で本を選ぶ読書を行うこと)はその後の学校生活において平均的により良い成績をおさめていました。それは読解などの成績に限らず、算数などの成績でも表れていました。
 
親の関わり方によって大きな影響を与えることは可能だと様々なデータが表しています。
 
ただ、ピアソン氏も言及していますがそれぞれのデータから親の関わり方と子どものその後の成功に関しては相関関係があるというのは示されているが、必ずしもその要因のみが結果を作っているとは言い切れません。ただ、要因をしっかりと特定するために研究者も様々な工夫をしており、相関関係からも学べる点は多いと思われます。
 

人がスピーカーマイクで話す, ワクワク, 不安を乗り越える

親が行える具体的な行動

 
子どもに対して関心を示して、熱心に関わり、子どもの未来に対しても大きな期待を抱くとはどのような行動が可能なのか。
 
1. 子どもの話を聞く時間を作る:忙しい日々の中では子どもの話をしっかりと聞く時間を日常的に作ることが難しく感じている方も多いと思います。しかし、子どもを理解し、関心があることを見せるには子どもの話に耳を傾ける時間を作るのは非常に重要になります。
 
2. 読書の読み聞かせを行う:自ら進んで娯楽として読書に取り組むのもまずは読書が楽しいことだと気づくことが大切です。多くの方はそのスタートを親からの読み聞かせで始めているのではないでしょうか。
 
とてもシンプルな二つの行動ですが、大きなプラスの影響を与える可能性があるかもしれません。
 
ピアソン氏が紹介した研究に限らず、逆境に強い子どもの育て方やメンタルの作り方は近年たくさんの研究者が関わっており、発表が相次いでいます。Angela Duckworth氏が広めたGRIT(やり抜く力)やCarol Dweck氏のGrowth Mindset(成長型思考)の研究もさらに進んでおり、今後も目が離せない状況になっています。過去のブログでもGRITやGrowth Mindsetを紹介していますのできになる方はぜひ一読ください。
 
参考:
ヘレン・ピアソン TED TALK「人間の成長・発達に関する最も長期に渡る研究から得た教訓」

 
ご興味ある方は下記のブログもご覧ください:

  • 教育業界注目の人の成長を大きく左右するグロースマインドセット
  • やり抜く力を極めて、モチベーションをあげる3つの方法
  • 今までImaginExとして行なってきた中高生向けのキャンプやワークショップ、また海外進学の指導に加え、Katsuiku Academyという名で新たな学校の設立にも取り組んでおります。

    今後のキャンプ、海外進学エッセイ指導、学校設立に関する最新の情報はKatsuiku Academyのウェブサイトに掲載いたします。

    ご興味がある方はこちらのリンクから詳細をご覧ください。

    Katsuiku Academyホームページ