「1万時間」練習すれば、プロレベルになるわけではない

練習とは時間を多くかけることが大事であると考える方は多いのではないだろうか。

また、1万時間の練習をすれば、その分野で活躍するトップの一員になれるという話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。これはMalcolm Gladwell氏が「天才!成功する人々の法則」で紹介したことによって、世の中で広まった法則である。しかし、Gladwell氏がこの法則を発表した元となる研究を行ったAnders Ericsson氏は単に1万時間かけるだけでは足りないと言及している。

例えば、あなたがこれから毎日3時間、ランニングをした場合、10年後にはオリンピック選手と競えるレベルのマラソンランナーに確実になっているだろうか。コーチもなしに自分のタイムも厳密に図らず、音楽を聞きながら走っているだけであれば1万時間かけてもオリンピックレベルに達しないのは想像に固くない。

Ericsson氏は単に時間をかけるのではなく、質の高い練習、意図的な練習(Deliberate Practice)を重ねることが重要だと考えている。

走る人 意図的な練習

成長を可能とする意図的な練習とは?

それでは質の高い意図的な練習とは具体的にどのような練習なのか。意図的な練習には大きく分けて4つの要素が関わっている。

  1. やっと手が届くぐらいの明確な目標
  2. 高い集中力と努力
  3. タイムリー且つ的確なフィードバック
  4. 調整を重ねて何度も繰り返す

やっと手が届くぐらいの明確な目標:現在は出来ないが、手を伸ばせば届く目標を明確に設定することによって、具体的にどのような行動が必要か、また自分の練習の成果が見えてくる。例えば、バスケット選手として「シュートが上手くなる」というのも素敵な目標だが、目標が広すぎて具体的な行動、またはその成果の測定方法が見えてこない。より具体性を加え「フリースローシュートを85%以上入れること」と設定することで、行うべき練習内容やその成果を図る方法が見えてくる。

高い集中力と努力:勉強、音楽、スポーツ等あらゆる分野においても練習には高い集中力と努力をもって挑むことが重要である。Ericsson氏は高い集中力を保って取り組みには練習を1時間におさめる、または1時間毎に休憩を挟むことを推奨している。

タイムリー且つ的確なフィードバック:練習直後またはその最中にタイムリーなフィードバックを貰うことで、自分が現時点において何が足りないのか、またどの点に改善が必要なのかが理解できる。自らの行動を振り返ることも可能ではあるが、自分より上のレベルの人からフィードバックを求めることで次のレベルに向かうために必要なことが明確になる。

調整を重ねて何度も繰り返す:練習の成果を図りながら、目標を調整したり、フィードバックを反映するために練習方法に調整を重ねて、何度もその練習を繰り返す。上記の3点をしっかりと組み込みながら、練習を重ねることが必要となる。

単に時間を費やすのではなく、はっきりとした意図をもって物事に取り組むことが重要です。自ら興味を持って取り組める関心事を見つけ、意図的な練習を繰り返し行うことで求めている成長がより実現できます。

前回も話した通り、そのためにも、多くのことに前向きな姿勢をもって挑戦し、自らの関心事を探すことをぜひ試していただきたい。

 

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